現職警察官が容疑者として
自供したものの有罪とされなかった事件
■不起訴理由
1 週刊文春へ送ったCD-Rの作成時期について
3 週刊文春へ送ったCD-Rの文書ソフトのバージョンが
4 容疑者のノートパソコンにCD-Rに絡む文章を作成した痕跡がなかったこと
5 容疑者は「夫婦の首をひもで絞めた」と供述したが、
6 事件前後に通ったという道路の防犯カメラに容疑者が映っていないこと
7 容疑者の供述では凶器や財布を川に捨てたとあるが、
8 動機について「30年以上前からの付き合いの積み重ねでやった。
9 2013年5月の処分保留以降、
2010年(平成22年)4月20日午後0時20分ころ、
富山県富山市大泉の3階建ての2階から出火し、
焼け跡の寝室から、79歳男性と74歳女性の夫婦の遺体が発見された。
夫婦は2人暮らしで、
事件の数年前にビルを買取り、不動産事業を手がけていた。
女性は首を絞められた痕があった。
男性は首を圧迫された窒息死であった。
殺害後、放火されたものとみられている。
■別件逮捕
2012年(平成24年)10月31日、
捜査情報を漏洩したとして富山県警の警察官を
地方公務員法違反(守秘義務違反)で逮捕。
同年11月21日、別の捜査情報を漏洩した件で再逮捕。
同年12月22日、殺人および現住建造物等放火、死体損壊の疑いで逮捕。
当初は放火殺人の事実を認めていた。
■週刊文春事件
2010年(平成22年)6月、週刊文春に対し、
CDーRと1枚の手書き現場見取図が送付された。
富山県警は任意提出を求めたが、
文春は取材源の秘匿を理由にこれを拒否。
2012年(平成22年)8月1日、富山県警は差押令状により、
CD−Rを押収した。
CD−Rの内容は、犯行の動機、困窮した現状が記されていた。
「格差社会のゆがみにはまり、憎悪を増幅させてしまった
いきさつについて手記として記したい」
「私の生活は困窮している。
私のやり遂げなければならないこともお金がかかる」
現場見取図の内容は、警察・消防の一部しか知り得ない内容であり、
さらにCDR解析の過程で、文書作成者として、
被害者の知人であり、富山県警の警察官であった容疑者の名前が
ローマ字で残されていた。
容疑者は当初、「被害者と話していたら電話がかかってきた」と供述しており、
出火の数十分前に被害者宅に電話がかかってきていた事実が確認され、
「秘密の暴露」と判断され、犯人性が濃厚となった。
■不起訴理由
2013年(平成25年)7月24日、
本件放火殺人については、嫌疑不十分で不起訴となった。
1 週刊文春へ送ったCD-Rの作成時期について
容疑者は「6月上旬」と供述しているが、
実際の記録は5月12日で、1か月のずれがあること
2 週刊文春へ送ったCD-Rの作成時期に記録されている
「5月12日」は容疑者は高岡署留置管理課で勤務していてアリバイがあること
3 週刊文春へ送ったCD-Rの文書ソフトのバージョンが
容疑者の使用したと説明したノートパソコンの設定と異なること
4 容疑者のノートパソコンにCD-Rに絡む文章を作成した痕跡がなかったこと
5 容疑者は「夫婦の首をひもで絞めた」と供述したが、
法医学者の一部が手で絞めた可能性を指摘していること
6 事件前後に通ったという道路の防犯カメラに容疑者が映っていないこと
7 容疑者の供述では凶器や財布を川に捨てたとあるが、
現場を捜索しても凶器や財布が見つからないこと
8 動機について「30年以上前からの付き合いの積み重ねでやった。
親の恨みが子供に引き継がれることもある」と供述しているが、
裏付けが取れないこと
9 2013年5月の処分保留以降、
「自分がやったのか分からない」と容疑者の供述が曖昧になったこと
■地方公務員法違反(守秘義務違反)での処分
2012年(平成24年)12月7日、起訴。
2013年(平成25年)3月25日、懲戒免職。
2013年(平成25年)7月25日、懲役1年・執行猶予4年の判決。
■未解決事件
放火殺人については、
被疑者が嫌疑不十分で不起訴となったことで、いまなお未解決。
2013年(平成25年)10月17日、
警察庁捜査特別報奨金事件(1000万円)に指定。
■手配
0 件のコメント:
コメントを投稿